とくでん書房

徒然なるままに日暮し

バイオリズム

最近バイオリズムが良くありません。

 

バイオリズムの使い方が違うかもしれませんが、何かうまく回りません。

例えば、見積もりよりも大幅に工数がかかり、利益ガ〜。とか、交換する部品が廃盤で、なくて、その他もろもろ全交換、などなど。

 

そして昨日も、現場到着の直前に荷物満載で乗ってたダンプが故障。

この重量物を持って数百メートルの現場まで持っていくとかないから。

とりあえず、車両関係を見てもらっている義兄に電話。あ〜、クラッチのどうたらこうたらやね。とりあえず行くわ。と、片道1時間半かかる場所まで来ていただけるとのこと。

そしてこの荷物をたまたま、同市の現場に来ていた別部隊の人にトラックで来てもらい載せ替え・・・・。

 

ほんと、なんか、こんなんばっかり。

って、帰って奥様に話したら、ついとるやん。と。

こんまいトラブルが多い方が、大きいトラブルはないやろ。

えーやん、ついとるね~。と。

 

私のこまさを改めて教えていただきました。

 

ボリューム32

いつもよりもほんの少し大きな音が車のスピーカーから流れていました。苛立っていたわけではありませんが、少しだけ大きな音で心の中の音を誤魔化したかったのでしょう。

窓も開けて外の音も取り入れます。音楽と重なり田舎の道に喧騒を連れてきます、その喧騒に身を任せていました。

チリン

とても小さな、でもとてもかわいい音がしました。音の正体は車の鍵についているアルミのプレートでした。

直径5cmほどで楕円形の薄いプレートは表面に365と数字だけが刻印された脆弱さすら感じさせるシンプルなものです。以前行ったフリーマーケットで購入したものでしたが、お店の人は米軍のものだとか言ってた様な気がしますが、詳しくは忘れました。

そのプレートと鍵が車の振動で接触して音がしたのです。

この喧騒の中であって、その音と比べるととてもか弱い小さな音のはずですが、心に響いてなぜかこの音は聞こえるのです。

私はこの音がとても好きで、喧騒でかき消そうとしていた心の音を、かき消すのではなく、溶かしてくれるのです。

本当にたまにしかならないこの音を心待ちにしています。

「お疲れ様でした」

目の前の唐揚げを口に入れようとした時電話が鳴った。後にしようかと思ったがスマホの画面にでた名前はドナルドトランプだった。

これが最後の電話だと思い応答のマークを押した。「もしもし」あえて日本語で答えた。

相手にもその意図が伝わったのか「お疲れ様でした」とだけ日本語で話し電話は切れた。

全てが終わった時に爽快感や充実感がある人は本当の意味で終わっていない人だろう。そんなことを思いながらスマホを机に置き、少しだけ軽くなった箸で唐揚げを口に運んだ。

 

興覚めしました

歌の歌詞はこと細かく表現されていないので、その向こう側は受け取る聞き手次第と思うとります。(もちろん歌詞を書いた人には向こう側も鮮明だと思いますが。)

歌詞とリズムでその向こう側を淡く想像しながら自分なりの解釈を加えていきます。更に言うと、自分の体験や考えをそこに重ねます。そうすることでより感情移入できると思うとります。

先日ラジオを聞いてましたら、司会の女性がある歌の歌詞をおもむろに解説し始めました。私は存じ上げないのですが、歌関係に詳しい人のようでした。歌詞を紹介し、この場面はこういうことを言っている、などと詳しく解説を始めました。若干悦に浸りながら(私がそう感じただけです)。しかも断定します。この歌詞はこういうことです。的な。軽くならまだしも、結構な時間。

そのあとに流れた歌はいい歌なのでしょうが何か興ざめし、途中で聞くのをやめました。

選択

人生を左右させる様な選択を何度かしてきたと思います。その選択が正しかったのか、間違っていたのか、自問自答する時はないでしょうか。

いや、わかります。

この問いにはまったくもって1mmたりとも意味がないことを。自分は一人で別の選択をした人生を歩むことはできないのですから。

(何にでも答えを求めてしまうのは学校の勉強で答えを求め続けてきた弊害かもしれません。)

でも、例えばロールプレイングゲームの攻略本のように、最良の道がわかってたとしたらどうでしょう。宝箱の位置とか落とし穴の位置とかがわかっていればサイコーですね。

「そんな人生ツマンネー。」という声も聞こえてきそうです。確かに、人生に驚きなんかないでしょう。会った瞬間、あっこの人と結婚するんだ。とか。でも、その分悲しみや苦しみも少なくてすみます。人生の波の上の方と下の方をザックリ削除する感じなのでしょうか。

わたくし、人生の中で良いことと悪いことは半々で発生するというバイアスを患ってます。

良いことが多いと悪いことも多い。逆に良いことが少ない人生では悪いことも少ない。ということです。

わたくし、後者を歩みたい派なのです。なので攻略本を見てしまうのです。

 

もちろん残念ながら攻略本などありません。

でも多分、書籍や先人のアドバイスなどはこれに近いものかもしれませんね。

東京事変

今日今が確かなら万事快調よ。

 

理想の生き方です。

でも、現実的にはそういうわけにもいかず、世の中にはいろいろな技があり、一撃必殺とはいかないものです。(出典:修羅の門

 

この先の不確かな不安や、今の確かな不安と、将来の不確かな希望の中で気持ちは波風を立て、そして凪を羨望するのです。

 

誰しもそういう気持ちを持ちながら今を生き、確かな、いや、不確かな一歩を歩んでいるのです。

とても尊いことだと思います。

 

今を生きているのか、未来を生きているのか、ほんとわからなくなります。

記憶③

大いに困惑した。

 

いや、俺の妻なのは確かだし、そこはその通りなんだが、随分若い。それに隣にいる子供は俺の少年時代にそっくりだ。

そもそも俺に子供はいない。

 

ちょっと後ずさりながら発した言葉は、

「シンジ、気に入ったペンはあったか」

だった。

頭の中で言おうとした言葉ではない。

それに子供の名前をなぜか知っている。

 

目の前の2人は怪訝そうな顔をしていたが、

じゃあ帰ろう、という俺の言葉で歩き出した。

 

何をどう聞いたらいいのかわからないまま、口だけは勝手に会話を続けていた。

会話は違和感なく、そして子供や妻は笑いながら対応している姿を見ると俺は俺であっているようだ。

 

もしかして今までの記憶が間違っていたのか。

そう思えるほど俺たちは自然だった。

学校の話、妻の職場の話、全部俺の口は知っていた。頭の中では何も知らないのに。

 

どうやら自宅が近くなったようだ。

俺はもう俺の口に従い新しい生活を受け入れようと思いだしていた。

 

そして、それを決意して、口に勝手に話させず、自分の口で、改めて子供の名前を呼んだ。

 

「シンジ、もうすぐうちだな」

 

 

そこに子供と妻はいなかった。