その男は立ちすくんでいた。 自分の人生を構成しうるいくつかのものをたった今、失った。 失ったといえばまだ救われるのかもしれないが、実際は自ら、捨てた。 バブルも終わり、就職氷河期という言葉もずいぶん定着したころ、その男はサラリーマンという至極…
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