とくでん書房

徒然なるままに日暮し

青い空

窓からは青い空がこちらを睨んでいた。

 

足を骨折したのは2週間前になる。ドジな話だが、家の階段でこけてしまった。

手術の必要があるため、合計1週間入院することになったのだが、病院内とは対照的に外は快晴で恨めしかった。

 

 

昨日、会社の同僚がお見舞いに来てくれた。

仕事のことが気がかりだったので、病室に入って来るやいなや、自分がたずさわっているプロジェクトのことを質問した。

自分が抜けてしまって大丈夫か。あの顧客は自分でないとへそを曲げてしまうかもしれない。

矢継ぎ早の質問に、同僚は少しバツが悪そうに、でも少しにやけながら、

「お前の部下が代わりに対応していて、なんの問題もない。」

そう言った。

 

そ、そうか。

と、ほっとしたのか、残念なのかわからない感情が一言発した。

 

とりとめのない会話を5分ほどした後、同僚は帰っていった。

 

 

今回の件で次の課長の椅子は同僚になるだろう。

あの表情は、それをわかっている顔だった。

 

しかし、それ以上に、自分への個人的な恨みがその表情からうかがいしれた。

 

あの日、野球のボールを無視した自分のことを恨んでいるのだろう。

 

あの日見下した野球部員に見下されるとは。

 

改めて窓に目を向けると、空は一層青かった。

 

 

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