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とくでん書房

徒然日記です。

営業3課課長

「なんか言ったか?」 工場の中は機械の音がうるさく、隣の部下の声がかき消された。 機械はとどまることなく製品を吐き出している。 機械商社の営業3課の課長になって初めての大きな仕事だ。 失敗するわけにはいかない、と 手の中の汗を握りつぶしつぶやい…

歪み・裏

肩を叩かれ起きた。 危うく乗り過ごすところだった。 起こしてくれた同僚に礼を言って、電車を降りた。 別に飲みすぎたわけではない。 課長になって半年、帰りの電車で寝てしまうことが多くなった。 疲れているのか、 確かに、現在上場を目指している会社の…

歪み

「おーい、ボール取ってくれ」 少年に声をかけたのは、日焼けで真っ黒の顔をした高校生だった。 少年はボールを手にとると、予想よりもずっしりと重い、その硬球を投げ返した。 河川敷のグラウンドでは、毎日近くの高校生が野球の練習をしている。 この高校…

非望 ~もやもやした小説

その男は立ちすくんでいた。 自分の人生を構成しうるいくつかのものをたった今、失った。 失ったといえばまだ救われるのかもしれないが、実際は自ら、捨てた。 バブルも終わり、就職氷河期という言葉もずいぶん定着したころ、その男はサラリーマンという至極…